RCF規制とは?

「断熱材の歴史」ととも詳しく解説します

「RCF」とは、はリフラクトリーセラミックファイバー(Refractory Ceramic Fiber)の略です。

RCF規制とは、リフラクトリーセラミックファイバー(断熱材)に係る
労働者の健康障害防止対策を強化すること等を目的として、
「労働安全衛生法施行令の一部を改正する政令」および
「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令」として
2015年11月に施行・適用され
た内容をさします。

厚生労働省HP→「https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000101692.pdf

RCF規制が制定された背景について「断熱材の歴史」とともに解説いたします。

【目次】

1.断熱材の歴史

2.RCF規制とは?

3.RCFに代わるAESとは?

1.断熱材の歴史

工業炉などの断熱材はかつて、天然の鉱物繊維であるアスベスト(石綿)が使用されていましたが、

発がん性が確認され、その代替品として、リフラクトリーセラミックファイバー(以下RCF)が

広く使われるようになりました。

リフラクトリーセラミックファイバーは、アルミナとシリカをほぼ等量に

配合・混合して電気炉で溶融させ、これを細流として取り出した後、

吹き飛ばして繊維化する人造の鉱物繊維です。

発がん性の知られる天然鉱物繊維である石綿とは、明確に異なる材料ではありますが、

繰り返し吸入・ばく露すると、肺に炎症が生じることから、

発がん性が疑われています。

2.RCF規制とは?

RCFは、石綿の代替品として広く使われていましたが、

厚生労働省は、2015年11月1日にRCFを、健康に及ぼすリスクが高いと評価し

RCFに係る労働者の健康障害防止対策を強化すること等を目的とした、

「労働安全衛生法施行令」「労働安全衛生規則」「特定化学物質障害予防規則」

を改訂しました。

厚生労働省HP→「https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11300000-Roudoukijunkyokuanzeneiseibu/0000101692.pdf

「ナフタレンとリフラクトリーセラミックファイバーについて健康障害防止措置が義務づけられます」8ページから15ページ参照

この改定内容が「RCF規制」とよばれるようなり、RCFの製造・取り扱い作業全般で下記の措置が必要となりました。

 容器・包装への表示🔶名称、成分、人体に及ぼす影響、安全性及び反応性などを、容器・包装に記載
 文書の交付(SDS)🔶成分及びRCFの含有量、人体に及ぼす作用、危険性及び有害性等を記載した安全データ  シートの交付
 発散抑制処置等🔶局所排気装置及びプッシュプル型換気装置の設置
 作業主任者🔶「特定化学物質及び四アルキル鉛等作業者主任者技能講習」を修了した者のうちから、       作業主任者を選定
 作業の管理🔶RCFの粉塵吸入を防止するために有効な呼吸用保護具、作業衣の着用が必要
 作業環境測定🔶6カ月以内に1回、定期的に作業環境測定士(国家資格)による作業環境測定の実施
🔶測定記録30年保存
 健康診断🔶6カ月以内ごとに1回、規定項目について健康診断の実施
🔶健康診断結果30年間保存

3.RCFに代わるAESとは?

2015年のRCF規制によりRCFの使用が制限されることになり、

RCFの代替品としてアルカリアースシリケートウール(以下AES)が広く使われるようになりました。

AESは生体溶解性繊維の一種です。

生体溶解性繊維(バイオソルブルファイバー)は、BSFと略され、

吸引等で人体に摂取されたとしても、体内のマクロファージなどにより、

分解・排出されやすいとされています。

AESは、シリカ質、マグネシア質、カルシア質を主成分とした、

人体にとって安全性の高い生体溶解性繊維です。

 正式名称主成分安全性
石綿アスベスト天然鉱石 (アモサイト・ クロシドライト など)⽯綿にばく露すると、じん肺(⽯綿肺)、肺がん、悪性中⽪腫、良性⽯綿胸⽔(胸膜炎)、びまん性胸膜肥厚を引き起こすと報告されている
RCFリフラクトリー
セラミックファイバー
シリカ (SiO2)
アルミナ (Al2O3)
IARC(国際がん研究機関)により、吸入により発がん性の可能性がある物質として、グループ2Bに位置付けられている
AESアルカリアース
シリケートウール
シリカ(SiO2)
マグネシア(MgO)
カルシア(CaO)
環境が厳しいEU(欧州連合)のEU CLP規制1271/2008EC (化学品の分類、表示、包装に関する規則)においては、NotaQ(適用除外要件)に該当し、発がん性分類に当てはまらないと位置付けられている。 (IARC(国際がん研究機関)では、アルカリアースシリケートウールは発がん性の分類の記載なし。)
【石綿・RCF・AESの違い】

AESの特徴は、

・1100℃までの耐熱性

・熱衝撃につよい

・軽量で優れた加工性、蓄熱量が低い

などがあり、優れた省エネ効果が期待できます。

当社では、RCF規制対策品であるAES製品を幅広く取り扱っております。

製品に関する詳しい情報はカタログページからご覧ください。